159人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
太陽は東の空に昇ったばかりで少し肌寒い中、休日の学校の校門の外に四人の人影があった。
「よし、全員揃ったな。アズール火山は此処から南西に約40km行った所にある。急げば今日中に帰って来られるだろうな。行き方は徒歩と馬車、クレバスの街まで歩いて、そこで馬車を借りる」
シークが先日計画した内容を確認するべく淡々と読み上げた。
「よっしゃ、行くか!」
クラッドの声と共に四人は歩き出した。
…………………
クーリエの街を出発して早三時間、四人は街と街の間の草原を歩いていた。
「結構歩いたね。街があんなに小さく見えるよ」
キラカの声に三人は来た道を振り返った。
「ほんとだ。でも魔物が一匹も現れないなんて平和よね」
エルナが誰に言うでもなく呟いた。
魔物は昔、国中に溢れていたが、ウェールの森の魔女が強大な魔術によってその多くをウェールの森に閉じ込め、人々を恐怖から救ったと伝えられている。
そのため最近では魔物を目にするのは、人の普段立ち入らない森や谷くらいで、今四人が歩いている草原などでは滅多に遭遇することは無い。
「お!街が見えてきたな。あの街で馬車を借りるのか?」
クラッドは右手を目の上に添えて、遠くに見える街を見据えた。
最初のコメントを投稿しよう!