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よく晴れた今日はノクタリートの北部にある『クーリエ魔法学校』の入学式である。
「……以上を持ちまして入学式を終わりにします。」
少年たちは式の行われた三千人は裕に入るであろう大きな体育館を後にして、入学式特有の長い話に疲れた体を動かし、それぞれの教室へ移動して行く。
いち早く体育館を後にした男子生徒が二人、怠そうに首を回したり肩を回したりと、並んで歩いていた。
「なぁ、あいつウイスタリア家のやつじゃね?」
「げっ、まじかよ。同じクラスだったら最悪だな。」
少年二人の視線の先には、長身で、艶のある黒髪に、深い青紫の瞳の少年が歩いていた。
ウイスタリアというのは国中に名の知れた貴族の名前である。
青紫の瞳はウイスタリア家特有の瞳として有名だが、それだけではなく、彼は歩き方や仕草にも品があり、一流貴族なのだと窺える。
入学早々の陰口に、黒髪の少年は聞こえていないのか、そのまま廊下の突き当たりの教室へ消えていった。
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