第五章 †アズール火山†

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カツカツカツ…  目の前を茶色の物体が通り過ぎる。 「すげぇ、馬ばっかだな」  クラッドは思わず言葉を漏らした。  四人を待ち受けていたのは馬と人間が共生する街『クレバス』  昔、争いの絶えなかった頃、唯一馬を主体に戦っていた民族がいた。その民族の子孫たちがこの街で暮らしている。時に家族のように、時に仕事の相棒として馬達と共生している。彼らにとって馬は欠かせない存在なのだ。 「どこで馬借りんだ?」 「この辺りに父の知り合いが経営している店があったんだ。とりあえず、そこを見に行く」  シークはクラッドの問いに答えると、迷う様子も無く歩き出した。それに三人も続く。  三分も歩かない内に目の前に年季の入った木造二階建ての建物が現れた。 「すいません、馬車を借りたいんですが」  シークが店の奥へ声を投げかけると、白髪混じりの黒髪の男性が現れた。 「いらっしゃい。じゃあまず、この紙に記入してくれ。そこの机を使うといい」  男性はそう言うと、近くにあった椅子に腰を下ろし、新聞を読み出した。  シークが男性の言った机に紙をみんなに見えるように置くと、三人はそれを覗き込む。
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