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「氏名、年齢、人数、目的地、期間、武器の貸出かぁ、期間と武器はどうする?剣だけみたいだけど」
「期間は余裕を持って明日の昼くらいまでがいいだろ。武器は剣三本でいいか?」
シークは、既に腰に剣を差しているクラッドを見て言った。
「いいぜ。オレはこれを使う」
シークはクラッドの言葉を聞くと紙にペンを走らせた。
全て記入し終えると、男性の元へ持って行く。
「お、書き終えたか。ん、アズール火山?お前さんらあの山に行くのか?」
男性は片手に持っていた新聞を思わず床に落とし、驚いた顔で尋ねた。
「はい。薬草を採りに」
そんな男性にエルナがキッパリと答えた。
「やめといた方がいい。最近悪い噂が絶えないからな」
男性はどうにか引いてもらえないかと、諭すように言う。
「悪い噂って?」
キラカは首を傾げながら表情の暗い男性に問う。
「どうも人の言葉を喋る魔物がいるらしい。それも強力な魔術を使うって話だ。悪いことは言わない。薬草は諦めて帰りなさい」
男性の話に暫し重い空気が流れる。
人語を話す魔物。…まさかね。脳裏に浮かぶそれを頭の片隅に追いやると、仲間達に意見を求めた。
「どうする?」
「オレは構わないぜ」
クラッドはキラカの問いに白い歯を見せて言った。
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