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そんなクラッドを見てクスッと笑うと、シークも賛同する。
「此処まで歩いてきた分を無駄にしたくないしな」
「でも危ないよ?私のためにみんなが危険な目に合うなんて嫌よ」
「じゃあ怪我をしたらエルナが治してね」
キラカは笑顔で、困惑するエルナの肩を叩いた。
「そうゆうことだからおっちゃん、馬借りるな!」
クラッドはそう言って紙を再び男性に押しつける。
「よし、飯だ飯!シーク、旨い店知らないか?」
「ふっ、俺が知ってる店がまだあればな」
クラッドとシークが店から出て行くのを唖然として見ている男性を一瞥すると、キラカはエルナに小さい声で言った。
「大丈夫。四人いれば何とかなるよ。さ、僕たちも行こ?」
エルナは渋々小さく頷くと、男性に軽く頭を下げてから、キラカの後を追って店を出た。
…………………
「はぁ、食った食った。」
四人は最近出来たと思われる新しい感じの飲食店で、空になっていた胃袋を満たした。
「さすがに十年も経つと店も変わるよね。どう見たって新築だし」
キラカは新しさを感じさせる白い壁の店内をキョロキョロしながら呟いた。
白いのは壁だけではなく、テーブル、イスまで白で統一してある。
「そうだな。ここに昔はパスタ屋があったんだが、よく考えてみたら、あの時の店長は今クーリエで店を開いてたな」
シークはすっかり忘れてた、と苦笑いした。
「そういえばさ、さっきの馬屋のおじさんはシークの知り合いだったの?」
「あぁ、俺の、というか父のだけどな。流石に十年も経てば気づかないみたいだったが」
キラカの言葉にシークは少し寂しそうに答えた。
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