第五章 †アズール火山†

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「これからどうすんだ?すぐ出発するのか?」  クラッドは膨れた腹をさすりながら言った。 「あぁ、まだ昼過ぎだし、早い方がいいだろ。一時間あれば着く」  シークは地図を広げ、アズール火山を指差した。 …………………  二頭の馬の引く馬車に四人が乗り込むと、心配そうに馬主の男性が窓際にいたキラカに尋ねた。 「本当に行くのか」 「はい。大丈夫ですよ、馬はちゃんと返すんで」  キラカが悪戯っぽく笑うと、男性は首を振って、小さくキラカにだけ聞こえるように言った。 「馬はいいから、シーク坊ちゃんを頼むよ。あの子は人一倍正義感が強いから」  男性はそう言って剣を三本キラカに渡した。  キラカは剣を受け取り、地図と睨み合うシークを一瞥する。 「任せてください。無茶はさせませんよ」  キラカがそう言い終えると馬車が動き出した。 …………………  馬には魔術が掛けてあり、目的地まで自動で運んでくれるため、四人は気兼ねなく雑談をする事ができる。 「キラカ、さっきあのおっちゃんと何話してたんだ?」 「ふふ、内緒」  キラカの正面に座っているクラッドは、まさかキラカが言わないとは思っていなかったため、口を開けたまま静止した。 「エルナ、薬草の特徴とかって何か無いか?」  キラカの隣に座っているシークは、正面にいるエルナに訊いた。 「そうね、色が白いってくらいかしら。他に白い植物って無いから、見ればすぐに分かると思うわ」
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