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そう言いながらエルナは一枚の写真を取り出した。
そこには小さな丸い葉が沢山ついた青白い植物が写っていた。
三人はエルナの差し出した写真を覗き込む。
「本当に白いんだね」
キラカは初めて見る植物に目を丸くした。
「こんなの学校に生えてたか?」
クラッドは見覚えの無い植物に眉を寄せる。
「学校に生えていたのは緑よ。でもアズール火山のは何故か分からないけど白いの。でも効果はバッチリよ」
エルナは写真をしまうと、飴玉を四つ取り出した。
「これ、私が作ったの。少し疲れがとれると思うわ」
三人はエルナ特製キャンディを口に入れ、悶絶した。
「エ、エルナ…」
「良薬口に苦しって言うじゃない。これでも大分苦味を抑えたのよ?」
当の本人はケロッとした顔で飴玉を口の中で転がしている。
それから三人が意識を取り戻したのは馬車が止まった時だった。
馬車から四人が降りると、目の前には背の高い木が他者の侵入を拒むようにびっしりと生い茂っていた。
…………………
「なんか出そうな雰囲気だな」
「出るだろうね」
薄暗い森の中、シークが緊張した声で言ったのに対し、キラカは軽い口調で言った。
「お前な…、少しは…」
「来るよ!」
シークの言葉をキラカの緊迫した声が遮った。
その時、3mはあるであろう白いゴリラのような魔物が突然現れ、キラカに丸太のような腕を振り下ろした。
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