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「キラカ!」
シークの声が砂煙の中に響き、三人の脳に最悪の事態が予想された。
「後ろからなんてヒドいな」
砂煙が治まると、胸に風穴が空き、既に息絶えた魔物と、いつも通り微笑んでいるキラカがいた。
「ん?どうしたの、早く行こうよ」
キラカはそう言うと森の更に奥へと歩いていく。
「クラッド、今何が起きた?」
「いや、オレには見えなかった」
「キラ君今消えた?」
三人は危機が一瞬にして過ぎ去った事に安堵しながらも、動揺していた。
…………………
「見つからないね」
ゴリラもどきをキラカが瞬殺してから二時間程経った現在、四人は白い植物を見つけられずにいた。
「あれから魔物も見てねぇけど、薬草も全然見当たんねぇな」
「おかしいわね、そんなに珍しいモノじゃないんだけど…」
言葉数も減り、疲労の色が見え始めた頃、クラッドの耳が何かを捉えた。
「何かいるぜ、数も多いな」
徐々に大きくなる物音は三人の耳にも届いた。
「ほんとだ。クラッドよく聞こえたね。囲まれたみたいだ」
クラッドの獣並の聴力にキラカが関心する中、四人の周りには姿は見えないものの、殺気を放つ何かが集まって来ていた。
「お前ら油断はするなよ」
シークが言葉を言い終わる時には既に金属音が響いていた。
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