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クラッドは狼のような魔物の爪を愛用の剣で弾き、そのままその腹を裂くと、次に後ろから腿に噛みつこうとした魔物を切り捨てた。
「こいつら何匹いんだ!?」
尚も襲いかかってくる魔物たちを避けては斬る、避けては斬るの繰り返し。
四人は魔物の急襲によりばらけてしまっていた。
「クラッド!後ろ!」
そんな中、エルナの悲鳴に近い声が響く。
「らぁ!」
クラッドは振り向きざまに魔物を切り捨てた。
この時、エルナはクラッドの方へ気を取られていたために己の背後に迫り来る魔物に気づかない。
「エルナ!」
ザシュッ
「よそ見しちゃだめだよ。クラッドは大丈夫そうだから、自分の事に集中するんだ」
突然襲われかけ、だがキラカによって突然危機から脱したエルナは混乱し、涙ぐんだ瞳でキラカを見た。
「わ、私っ、戦えない…」
恐怖と不安で震えるエルナにキラカは次々と襲いかかってくる魔物たちを的確に斬り伏せながら安心させるように微笑んだ。
「分かった。じゃあここから動かないでね。あ、これ持ってて」
キラカは左手の指輪を一つ外すとエルナに渡した。
「クラッド!大丈夫?」
「っ痛、あぁ、こっちは任せろ!」
キラカはクラッドの声を確認すると、エルナの足元に左手を着いた。
するとエルナを中心に光の輪が広がり、半径1mくらいになると消えた。
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