第五章 †アズール火山†

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「ふん、すきだらけだ」  そう言うと、消えたと思っていた男は既に彼のすぐ側にいて、闇を纏わせた拳でシークの腹を殴った。 「がはっ」  男は、地面を転がりぐったりするシークに歩み寄り、右手の先を鋭く尖らせて、シークの頭めがけてその腕を振り下ろした。 「ん?」  男が振り下ろした腕は地面に深く刺さった。だが、それだけだった。 「彼は僕の友達なんだ。殺しちゃ嫌だよ」  男が声のする方を見ると、10mほど離れた場所に銀髪の少年が黒髪の少年を担いで立っていた。 「キ、ラカ?」  男は目を見開いて銀髪の少年を見た。  キラカは気を失ったシークをゆっくりと地面に寝かせると、エルナの時と同様に地面に左手を着いた。  光の輪が消えるとキラカは男と向かい合った。 「久しぶりだね」 「何故だ、何故お前が此処にいる!?」  緑の男は先程までの落ち着きを失いあたふたする。 「薬草を採りに来たんだ。白い薬草って知ってる?」  キラカは男の質問には答えず、一方的に尋ねた。 「あぁ、あれなら我が住処にある」  男は警戒しているのか、膝を軽く曲げキラカに身構える。 「少し分けてよ」  一方キラカは剣も腰にしまっていて、身構える様子も無く一見すきだらけだが、薄紫の瞳がそれを許さない。
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