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「ふん、すきだらけだ」
そう言うと、消えたと思っていた男は既に彼のすぐ側にいて、闇を纏わせた拳でシークの腹を殴った。
「がはっ」
男は、地面を転がりぐったりするシークに歩み寄り、右手の先を鋭く尖らせて、シークの頭めがけてその腕を振り下ろした。
「ん?」
男が振り下ろした腕は地面に深く刺さった。だが、それだけだった。
「彼は僕の友達なんだ。殺しちゃ嫌だよ」
男が声のする方を見ると、10mほど離れた場所に銀髪の少年が黒髪の少年を担いで立っていた。
「キ、ラカ?」
男は目を見開いて銀髪の少年を見た。
キラカは気を失ったシークをゆっくりと地面に寝かせると、エルナの時と同様に地面に左手を着いた。
光の輪が消えるとキラカは男と向かい合った。
「久しぶりだね」
「何故だ、何故お前が此処にいる!?」
緑の男は先程までの落ち着きを失いあたふたする。
「薬草を採りに来たんだ。白い薬草って知ってる?」
キラカは男の質問には答えず、一方的に尋ねた。
「あぁ、あれなら我が住処にある」
男は警戒しているのか、膝を軽く曲げキラカに身構える。
「少し分けてよ」
一方キラカは剣も腰にしまっていて、身構える様子も無く一見すきだらけだが、薄紫の瞳がそれを許さない。
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