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キラカは薬草を受け取ると、少し上にある男の緑の顔を見上げて言った。
「いつからこの森に?」
「お前がセピアの元を去ったすぐ後だ」
男の言葉にキラカは納得したように首を小さく数回縦に振った。
「じゃあ、あの後のセピアの事は分からないよね」
キラカは少し残念そうにため息を吐いた。
男はふとキラカの後方に視線を向けると、突然後ろを向いて歩き出した。
「もう帰るの?」
「お前の友が来る。我と居るところを見られたくないであろう?」
男は背中を向けたままそう言うと、次の瞬間にはもう居なかった。
「またね」
キラカは小さく呟くと、気を失ったままのシークの横にしゃがみ込み彼の頬をつつく。が、無反応である。
「やっぱ起きないか…」
キラカがシークの頭に手を翳すと、先程まで全く目を覚ます様子の無かったシークはうっすらと青紫瞳を開いた。
「大丈夫?」
「あぁ…!あいつは!?」
クラッドはそう言うとガバッと体を起こした。
「あいつ?僕が来た時には倒れたシークしか居なかったよ」
キラカが何を言っているんだという風にシークを見やると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
姿を現したのは不機嫌そうなオレンジ頭と金髪の少女。
「良かった。二人とも無事だったのね」
エルナはキラカとシークの元へ駆け寄ると、キラカに指輪を返した。
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