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「あ、忘れてたよ」
キラカは微笑むと、受け取った指輪をはめた。
「そうそう、はいこれ」
「えっ!どこにあったの!?」
エルナはキラカの差し出した白い植物を見て、思わず声を上げた。
「これしか無かったんだけど、足りる?」
「十分よ!ありがとう」
エルナは金瞳を輝かせて言った。
「目的は済んだんだ。帰ろうぜ」
クラッドが何時になく不機嫌な声を出す。
「なぁ、クラッドどうしたんだ?」
「飴をあげたらああなったのよ。どうしてかしら?」
エルナはクラッドの機嫌が悪くなった理由が分からない様だったが、キラカとシークは苦笑いを浮かべると、クラッドの背中に哀れみの眼差しを向けた。
暫く森の中を歩いている時、シークはハッとして、自身の腹に手を当てた。
「……おかしい」
「何が?」
シークの小さな呟きに隣を歩いていたキラカが気づく。
「闇を纏わせた拳で殴られたんだ。なのに何ともない」
闇魔法にも幾つか特徴があるが、その内の一つが、物を腐らせるというものだ。闇で殴られたシークの腹は、本来ならば今頃は朽ちて致命傷になっていただろう。
「あぁ、そのことか。僕が治癒しておいたから大丈夫だよ」
キラカはニッコリ笑って言った。
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