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「もう寝ちゃった」
エルナは静かに寝息を立てるキラカを見て、ふと彼の服の袖からちらっと覗く物に気づく。
「これ何?腕輪?」
エルナはそっとキラカの左手の袖をまくった。
そこには銀に青で装飾された幅4cmくらいの腕輪があった。
「綺麗な腕輪…」
シークもキラカの腕輪に視線を向ける。
「なんか意外だな。キラカがこういう物を付けてるなんてな。…もしかして魔具か?」
シークは袖をまくられても起きない穏やかな寝顔を見る。
「でもキラ君ならあり得るよね。私、光魔法なら誰にも負けない自信あったのに、キラ君が使った光魔法知らなかったもの」
エルナは森の中でキラカが地面に施した光魔法を思い出していた。
「だが魔具三つって、本当に魔力Sなのか?」
「魔力測定でSって判定されたんだからSなんじゃないの?」
シーク達は、キラカが魔力測定で、指輪は外したが腕輪を付けたまま測定したことを知らない。
「ふあ、私も寝るわ」
そう言うとすぐにエルナからも寝息が聞こえ始める。
「俺たちはまだお互い何も知らないんだな」
シークはそう呟くと、眠りを誘う馬車の揺れに従い、静かに目を閉じた。
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