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朝、四人は身支度を整え、朝食をご馳走になると、店の外に出て馬屋の主人に頭を下げた。
「昨晩はありがとうございました。お陰でしっかりと休むことができました。帰りの馬まで貸して頂いて、本当にありがとうございます」
シークがそう言って丁寧に別れの挨拶をし、背を向けようとすると主人は彼の手をとった。
「シ、シーク様、またいつでもいらしてください」
震える男性の言葉にシークは唖然としたが、嬉しそうに微笑むと、男性の手を握り返した。
「覚えててくれたんだ。おじさん、ありがとう」
男性に別れを告げると、四人は馬車に乗り込んだ。
…………………
「帰りの馬車をタダで貸してくれるなんて、あのおっちゃん太っ腹だな!」
「あぁ」
クラッドの言葉に短いが、明るい声で答えるシークを見てキラカは思わず口元が緩む。
「そう言えば、キラカ昨日いつ部屋に戻ったんだ?」
クラッドは昨夜キラカが部屋に戻る前に寝てしまったため、いつ帰ってきたのか知らない。
「今朝、かな?」
「はぁ?お前一晩中星見てたのか!?」
キラカはクラッドの困惑する顔を見て悪戯っぽく笑う。
「そんな訳無いだろ。キラカはお前が寝た後すぐに部屋に帰ってきた」
シークが呆れたと言わんばかりにため息を吐く。
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