第六章 †秘密の特訓†

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 右手に載せた指輪に左手を翳す。すると、バチバチと音を立てながら指輪に植物の蔓のような、古代の文字のような模様が刻まれていく。  よし、あと少し。結構音が出るから部屋じゃ出来ないんだよね。模様が指輪を一周すると、左手を翳すことを止め、再び溜め息を吐いた。その時。 「キラカ!そんなとこで何やってんだ?」  突然聞こえた声に一瞬肩を揺らし、慌てて掌から零れそうになった指輪を握り締め、安堵の溜め息を吐いた。地上を見下ろして声の主の顔を見ると、思わず微笑んだ。 「おはようクラッド」  キラカはポケットからピアスを取り出して、手早く左耳につけると、屋根の上から飛び降りた。  キラカは一瞬見せようか見せまいか迷ったが、結局クラッドに隠そうとは思えず、先程の指輪を見せた。 「これ作ってたんだ」 「これ魔具か?」 「うん。今のがそろそろダメになりそうだから、壊れる前にね」  クラッドは感心してキラカの右手に乗る指輪を見つめた。 「魔具って創れんのか…。どうやって創るんだ?」  キラカはクラッドの質問に再び少し迷ったが、彼ならいいだろうという結論に至り、口を開いた。 「素材が銀なら何でもいいんだけど、魔術で装飾するんだ。でもただ飾るんじゃなくて、決まった模様があって、それを正確に施さないと意味がないんだよ。だから精度の高い、一番得意な属性でやるのが普通だね」  クラッドはキラカの言葉に首を傾げると、再び質問を投げかけた。
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