第六章 †秘密の特訓†

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「ここで?」  キラカの問いにクラッドは校舎の方を指差した。 「いや、前に雷見てもらったとこあるだろ?あそこでやろうぜ」  そう言ってクラッドは鍵を見せた。 「準備いいね」 「まぁな。もともと行くつもりだったし」  クラッドは照れ臭そうにオレンジの頭を掻いた。 「へぇ、熱心なんだね」 「だってもうすぐ魔術大会だろ?それまでに少しでも強くなりてぇしな」 「え?」  キラカは初耳だと言わんばかりに口をポカンと開けた。 「知らなかったのか?」  クラッドも驚きのあまり目を見開く。  それもそのはず。  魔術大会はクーリエ魔法学校の数少ないイベントの一つであり、地元民も観戦可能なため、大会間近な最近では街中に張り紙があるくらいだ。本校の生徒が知らない筈がない。 「いつ?」 「お前な…、来週」  クラッドは本当に知らなかったらしいキラカに小さくため息を吐いた。 「まさか知らねぇなんてな。先生の話聞いてんのか?」 「ははは」  クラッドに言われたら僕も終わりだな。そんな事を思いながらも口には出さない。  そうして二人は特訓するべく、校舎に向かって歩き出した。
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