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「今、意外って思ったろ」
クラッドはキラカの表情を見て眉を寄せた。
「へ?それよりさ、クラッドは将来軍に入りたいの?」
キラカはいつにも増して鋭いクラッドに焦りながらも言葉を繋ぐ。
「いや、どっちかと言うとギルドかな。親父もギルドだし」
クラッドは少し迷いながらも、はっきりと言った。
「そうなんだ」
そうこうしている内に、二人は校舎の中にいくつかある内の一つの魔術練習場の前まで来ていた。
…………………
「よし、行くぜ!」
クラッドは以前と同じように両手を向かい合わせ、その間に電流を流し始めた。
そしてキラカが見守る中、クラッドは以前は放つことすらできなかったその練った電流を5m程先にある耐魔石へ力強く放った。
「いつの間に出来るようになったの!?」
キラカは、以前とはまるで別物のクラッドの雷魔法を見て、驚きを隠せずにいた。
「へへ、すげぇだろ。実はあれから毎日特訓してたんだぜ?」
クラッドの鼻が心做しか高く見える。
クラッドは飲み込みが早い、センスがあるのだ。キラカはそう思っていたが、その影には努力を惜しまない彼の姿があったと知って、勘違いしていた自分が急に恥ずかしくなった。
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