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クラッドは思い出していた。キラカが選ぶ学食のメニューには必ず大根が入っていることを。
「お前、大根好きなのか?」
「うん」
「だから白いのか」
大根を毎日食べるからという単純な理由ではないが、雪国の住人のように白い肌のキラカとまじまじと見るクラッドを尻目に、キラカはまた一つ大根を口に放り込む。
「早く食べないと僕が全部食べちゃうよ?」
クラッドはキラカの言葉に慌てて止めていた箸を動かし始める。
クラッドの様子だとみんな毎日は大根食べないんだな。知らなかった。キラカにはあんなに美味しい大根を食べない日があるなど想像出来なかった。
クラッドはキラカの煮物を食べ終えると、膨れた腹をさすった。
「ごちそうさま!すっげえ旨かった」
キラカは空になった器を片付けると、再びクラッドの正面に座った。
「で、何か用?」
クラッドは一瞬ポカンと口を開けていたが、キラカに会いに来た本当の理由を思い出し、椅子に座り直した。
「一緒に特訓しないか?」
「あれ、秘密の特訓じゃなかったの?」
キラカは意地の悪い笑みを浮かべる。
「そのつもりだったんだけどよ、お前と特訓したら悪いところも分かる気がして…、魔術は絶対お前の方が上手いから、アドバイスして欲しいんだ」
クラッドはそのオレンジの頭をキラカに下げた。
「別にいいけど、大会の相手が僕じゃないとは限らないよ?」
「それはお互い様だろ?」
クラッドはその言葉に、スッと顔を上げると、白い歯を見せて笑った。
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