第六章 †秘密の特訓†

13/19

159人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
 午後、太陽が西に沈みかけた頃、二人はいつもの魔術練習場にいた。 「はぁ、はぁ、ちょっと休憩」  クラッドはドサッと床に腰を下ろし、天井を仰いだ。 「大丈夫?」  キラカは耐魔石を炎で包んだまま、横目でクラッド見た。 「あぁ、でもそろそろ魔力が切れそうだ。それよりお前、どんだけ魔力あんだよ」  二人は昼食を終えてすぐにこの部屋へ入り、約五時間に渡って特訓をしてきた。キラカに到っては、休憩も取らず、魔力を使い続けている。 「指輪を二つとも外したからね」  そう言うと、再び耐魔石に視線を戻す。  あと少し、あと少しで白炎になる。キラカは突き出した左手に右手を添える。すると、黄白の炎の勢いが増した。 「っ!」  その時、炎が一瞬だけ白く輝いた。 「なぁ!今のって白炎だよな!?」  暫くキラカの傍らで見ていたクラッドは、たった一瞬だが輝いた炎を見逃さなかった。  キラカは炎を消し、ここに来て初めて腰を下ろす。 「うん、たった一瞬だったけどね。あー疲れた」  キラカは自身の左手を見た。それは赤く焼けただれ、痛々しい。『白炎の代償』脳裏にひとつの言葉が浮かび上がる。  キラカは小さく息を吐くと、焼けただれた左手に右手を翳し、治癒魔法を施した。
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加