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午後、太陽が西に沈みかけた頃、二人はいつもの魔術練習場にいた。
「はぁ、はぁ、ちょっと休憩」
クラッドはドサッと床に腰を下ろし、天井を仰いだ。
「大丈夫?」
キラカは耐魔石を炎で包んだまま、横目でクラッド見た。
「あぁ、でもそろそろ魔力が切れそうだ。それよりお前、どんだけ魔力あんだよ」
二人は昼食を終えてすぐにこの部屋へ入り、約五時間に渡って特訓をしてきた。キラカに到っては、休憩も取らず、魔力を使い続けている。
「指輪を二つとも外したからね」
そう言うと、再び耐魔石に視線を戻す。
あと少し、あと少しで白炎になる。キラカは突き出した左手に右手を添える。すると、黄白の炎の勢いが増した。
「っ!」
その時、炎が一瞬だけ白く輝いた。
「なぁ!今のって白炎だよな!?」
暫くキラカの傍らで見ていたクラッドは、たった一瞬だが輝いた炎を見逃さなかった。
キラカは炎を消し、ここに来て初めて腰を下ろす。
「うん、たった一瞬だったけどね。あー疲れた」
キラカは自身の左手を見た。それは赤く焼けただれ、痛々しい。『白炎の代償』脳裏にひとつの言葉が浮かび上がる。
キラカは小さく息を吐くと、焼けただれた左手に右手を翳し、治癒魔法を施した。
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