第六章 †秘密の特訓†

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 クラッドは、今日の職員室のアリスと、普段の教室でのアリスのギャップに苦笑いを浮かべた。 「こんなに時間も忘れて魔術の練習したのいつぶりだろ」  魔術の練習ってこんなに楽しかったんだな、あの頃は苦痛でしかなかったのに。  キラカは無数の星が瞬く夜空を見上げた。 「なぁ、部屋でできる何か無いか?」 「火魔法?」 「あぁ。今日できることは、今日やっておきたいんだ」  クラッドは真剣な眼差しでキラカを見る。  キラカはそんなクラッドに嬉しそうに微笑んだ。 「じゃあ、初級でやるといいよ。掌サイズの炎で大きさは変えずに、熱を感じながらだんだん温度を上げるようにイメージするんだ。最初は温度を感じる事から始めればいいよ」  キラカは、初級の火魔法なら火事なることも無いだろうし、少しの魔力で沢山練習出来るだろうと考えたのだ。 「確かに今まで温度なんか意識した事無かったな。分かったやってみる。ありがとな!じゃ、おやすみ」  二人はそれぞれの部屋へと帰って行った。 …………………  月明かりだけの暗闇の中、白い炎が浮かんでいた。 「………」  部屋には肉の焼ける臭いが漂い、今何も知らない誰かがこの部屋に入れば、迷わず119番を押すだろう。 「っ!…はぁ、大分安定してきたな。うわ、酷い臭いだ」  キラカは白炎を消すと、窓を開け、風魔法で空気を瞬時に入れ換えた。
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