第六章 †秘密の特訓†

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 クラッドは楽しそうに説明するキラカに苦笑いを浮かべた。 「キラカって結構強引なのな。普通、コツ掴むためだからってわざわざ火傷しねぇよ」  そう言うクラッドの右手は白炎によるものではないものの、火魔法を使い続けた為の火傷を負っていた。  それを見たキラカは小さくため息を吐くと、彼の右手を取り、治癒魔法を掛けた。 「クラッドも人のこと言えないよ。初級の火魔法で火傷するって、どれだけ続けてやればそうなるのさ」  クラッドは苦笑いしながら頭を掻いた。 「けどよ、そのお陰で黄炎マスターしたぜ!」  そう言って火傷の無くなった右手に黄炎を灯した。 「まぁ、クラッドならすぐ出来ると思ってたけど、まさか大会三日前に出来るようになるとは思わなかったな」  二人はその後も毎日魔術練習場に通い、大会まで過ごした。 ………………… 「明日はクーリエ魔法学校の魔術大会です。どうなさいますか?」 「勿論見に行く」  煌びやかな装飾の施された椅子に腰を掛け、威厳のある低い声で男の問いかけに答えたのは、艶のある黒髪の男性だった。 「魔法学校に入学して、どれほど強くなったのか見極めなくてはな」  男性が無言で扉を指さすと、男は深く頭を下げ、部屋から出て行った。
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