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深い深い海の底。
そこには、赤い珊瑚で作られた門が目印の大きな大きなお城がある。
「ねー、お母様!今日も聞きたいの!人魚姫の人間との恋物語」
今日も私はお母様におねだりする。
大好きな大好きな物語を聞くために。
それは私のご先祖様にあたる方の人間との恋物語なの。
今年で6歳になる私ですら魅了するそんなお話。
「リリィ、好きね」
リリィは私の名前。
海の王様である私のお父様がつけてくれたお名前らしいの。
「うん、大好き!だから、早く早く、聞かせて?」
急かす私にお母様はフフッと上品に笑って
「仕方ないわね」
と言って読み聞かせてくれた。
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