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リリィは王子様を殺せませんでした。
愛していました。そして、今もリリィは王子様を心から愛していたのです。
リリィは銀の短剣を持って、城を去りました。
痛い足を我慢して、海に来ました。
海をずっと眺めていました。
そして、お日様の一番高く上る時間に、遠くから、大きなベルの音が聞こえるとともに。
末っ子のお姫様は、海に飛び込みました。
その瞬間、泡となって、消えてしまいました。
結婚式を挙げる王子様に届いたのは、それはそれは、美しい歌声でした。
「リリィなのかい?」
そう言った王子様の問いに誰も返す者は、いませんでした。
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