炎の力

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カイを少し追いかけるように外へ出ると、カイは近くに待機させていた飛竜の背に飛び乗って、飛竜は高速で東塔へ向かう。 その先を見ると、東塔のほうから灰色の煙がのぼっているのが見えた。 塔のまわりに見える竜は救助をしているのか、消火をしているのか。 ラウルはもう動いているみたいだ。 城内は騒がしく、東塔から離れた場所でも外へ出てきた者たちが東塔を見ている。 私は指笛を吹く。 安全なところで何もしないでいられる王妃じゃない。 「ウィリアム様はどうかこちらでお待ちください」 「待っていると思うか?」 ウィリアム様は言ったかと思うと、飛んできた飛竜の足に飛びついて、飛竜はしっかりとウィリアム様を落とさないように飛んでいく。 あまりのことに思わずなんにも考えられなくなった。 速い。 ご老体は守られておけとウィリアム様に暴言も出せなかった。 私のそばには水竜のあの子が飛んできて、私が乗れるように降りてくる。 というか、この子もハク様に言われたのに、近くまできていたらしい。 「ハク様にまた怒られるじゃないっ」 『どうせ水竜呼んでる人間がいるんだからいいじゃないっ。ほら、乗ってっ。あっちのほう煙すごいから、口塞いだほうがいいよ』 他に竜もこないし、渋々とその翼を借りる。 軍服のポケットから布を取り出して口や鼻を覆うように巻いて。 水竜は勝手に私を連れていってくれる。 「というか幼竜だからダメって言われたでしょ?」 『ダメじゃない。あたしのママ、人間だったの。正確には本当のお母さんが人間の女に卵だった私を預けたんだけど。しばらく一緒に暮らしていたけど、大きくなって一緒に暮らせなくなって。ママは人間の中ではおばあちゃんだったから、離れてほとんどすぐに死んでしまった。ママはあたしに人間と仲良くして、いっぱい助けられる竜になることを望んでいた。大人になりたいけど、なりたいだけじゃなれない。力を使いきってもなれない。それでもママの望み通り、立派な水竜になりたい。あんたのそばにいればママが喜んでくれるって思ってる。あんたの王妃っていうものを利用したいって思うから、風竜様はダメって言うんだよ』 利用…。 でも竜の世界には王妃の相棒になっても関係ないと思うんだけど。 竜がすごいと誉めてくれるのは姫様の竜になることだと思うんだけど。
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