のばした手の先に

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あたしは何年たっても16才の姿から成長できない。 どうせなら大人の女性、エディと心を重ねたあの姿で成長をとめたいのに、あたしはずっと少女で大人な16才のまま。 だけど、それでも年月を重ねるからか、あたしの頬にあった少しの鱗も剥がれて落ちて、あたしはもう飛竜としては大人になってしまった。 真竜としての成長はなかなかできない。 卵をつくる相手を見つけなければならないというのもあるけど。 真竜の成長は心の成長らしい。 あたしがまだまだ甘えているから成長できないのだろう。 お母様と二人、城の中庭でお茶をする。 空は青く澄み渡り、城のまわりは森のようになっているからか、鳥も多く、その声を響かせる。 のどかなお茶会。 お母様の好きな、あたしの焼いたフルーツパイをお茶菓子に、温かい紅茶に口をつける。 お父様は今日は公務はお休みで。 お父様も誘ってあげればと言われそうだけど、シャルマ様と二人きりのデートをどうぞと、あたしはお母様だけを誘った。 だってシャルマ様のほうがあまりお父様のそばにはいらっしゃらなくて。 お父様の仕事を助けるかのように、時には遠い異国にも足を運ばれて。 お父様と並んでいらっしゃるのをあたしはあまり見たことがない。 そこにはお母様がいればいいというような姿勢なのはよくわかってる。 それでもあたしはシャルマ様をそこにおきたい。 お母様はこんなあたしの考えもわかっているはずなのに、なんにも言わずにあたしとのお茶会をうれしそうにされている。 「…妬かないのですか?」 あたしはお母様の落ち着いた笑顔に思わず聞いてしまう。 「妬いてしまったりもします。でもシャルマ様のお心でウィリアム様のおそばにおいていただいているのは、よくわかっておりますから。あたしもシャルマ様にウィリアム様のおそばにいてほしいと望むこともあります」 「……でも求めたその人が違う女性を見ているのは…うれしくないものですよ?」 あたしは自分の中の嫉妬を話すように、どうしてそれでいいと思えるのか聞くように聞いた。
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