炎の力

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「俺の白髪はどこにいったんだろうな。もう真っ白になっていてもいい年だと思うんだけど。なかなか弱らないのはシャルマの力がかけられているのかな。 おまえはちょっと白髪には早すぎないか?ルナよりだいぶ若いというのに。ルーイも白髪が増えてもいい年齢なのになっていないしな。それはルナに力を借りたほうがいい。城に戻って数週間ほどでどうやったらこんなに老けるんだ?顔、皺が増えていないか?」 ウィリアム様は私をどこか心配されて、私の頬に手を当てて顔を上げさせて、じっくりと眺めてくださる。 娘扱いなのかもしれないけど、かなり恥ずかしい。 ドキドキしてしまうのはウィリアム様のせいだ。 優しく温かい手。 息が詰まってうまく呼吸もできない。 もうやめていただこうとウィリアム様の手に手を重ねる。 「あぁ、悪かった。少し近づきすぎたな」 なんてウィリアム様は恥ずかしそうに離れようとしてくれた。 そんなところに大きな音をたてて礼拝堂の扉が開けられて、思いきりびくっとしてしまいながら扉を振り返る。 いつの間にか私はウィリアム様に守られるように、その背の後ろにやられていた。 「前王陛下、大変失礼いたしますっ!」 なんて大きな声をあげているのはカイだ。 カイは膝をついて敬うこともなく、焦りを見せて、私を探すように視線を移し。 「王妃様っ、ご無事で何よりです」 私を見ると、安心したような顔を見せる。 「なんなの?」 「東塔に火が放たれました。油が撒かれていたようで火の勢いは東塔を全焼させる勢いです。ウィリアム陛下、王妃様はどうかこちらでこのまま待機を願います。煙の流れも西側には流れてはおりませんから、城内ではこちらが一番安全かと思われます」 カイはそんな話をしてくれて、私はすぐにエルム様や囚人たちのことを浮かべる。 繋がれていたら逃げ切れない。 「指揮は?」 「今はまだ誰も。上空から火に気がついた俺が近衛隊副隊長の権限を使わせていただき、近くにいた者たちを王や城内へ知らせに走らせました。牢番の兵士たちに囚人を外へ出すよう指示をして参りましたが、消火には手が回っておりません」 「よくやった。そのまま飛竜部隊へ知らせに走ってもらえるか?もう気がついてはいるだろうが、消火と救助にラウルに指揮をとらせる」 「すぐに参ります」 カイはウィリアム様に返事を返すと、そのまま外へ飛び出していった。
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