街の臭い

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 最期に大阪の街が見たくなった  くすんでいるが、賑やかな街の喧騒が溶け込んだ大気。  関西弁のなつかしい響き。  街中を忙しなく走り回るパトカーのサイレンの音。  切り取った様な大阪の一風景が、俺の胸に去来する。  学生の時に全身で味わったあの街の空気が、生暖かい湯気を放ちながら  俺の脳裡に甦る。  生きながらにして死んでしまった器官や神経に、僅かだが命が宿った。  そして  懐かしい古い友人達の顔──  もう枯れ果てたと思っていた涙が頬を伝う。  最後に大阪の街を見ておこう。  そして俺は、自分のこの腐り果てた人生に終止符を打つのだ。  午後になり俺は、僅かに残った金で切符を買い新大阪行きの新幹線に乗った。 ・
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