バレンタインⅡ

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そこに携帯が着信を告げる音楽を流し始める。 友達からだ。 今日の首尾を聞きたいのだろう。 私は暫く携帯を睨み、通話ボタンを押すか悩んでいた。しかし彼女の心配そうな顔が、彼の顔を押し退けて頭に浮かんできた。 私は意を決して通話ボタンを押すと、 「……もしもし?」 自分で思った以上に小さな声で応答する。 『声が暗いよ? ダメだったの?』 彼女の私を気遣う声が携帯から聞こえてくると、自分の中で未だ整理の付いていなき気持ちが込み上げてきて、気付けば涙を流していた。 そんな私を、彼女は静かに励ましてくれる。 励ますと言っても、ただ、彼女の話をしてくれるだけなのだが。 彼女の長女のトイレの失敗談とか、最近、口ばかり達者になってきて、自分と同じ事を言って困るとか、そんなたわいもない話。 だけど、聞いている内に私の心は、落ち着きを取り戻していくのだった。
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