バレンタインⅡ

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「ありがと」 彼女の話が途切れたところで、そう口にする。 『泣くほど、好きなんだ』 「そう、なの、……かな?」 そうして漸く、何があったのか話し始めた。 彼がいなくて落胆した事。 そして眠ってしまった事。 寝惚けているところを彼に見られた上に、抱き着いてしまった事。 慌てふためいた私は、落としたチョコレートをそのまま渡してしまった事。 抱き着いた事は夢だったのかも知れない。 だけど彼に触れた記憶は鮮明に残っている。 彼の体温を感じた。その時は、とても幸せだった。 だからそれを夢だと言ってしまうと、その感覚全てが嘘になってしまうと感じていた。 『そっか』 私が話し終えたと感じると、彼女は一言、そう口にした。そして、 『でも、フラれた訳じゃないんじゃん』 続けて、明るく言った。
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