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『答えを聞いてないんでしょ?』
「う、うん」
『じゃあ、返事を貰いに行かなきゃね』
「……」
『分かった。じゃあ、ホワイトデーに会いに行きな。今日がバレンタインだって事、知らないなんてハズはないんだからさ』
「そうかな?」
『そう! だから絶対、来月の14日にはその公園に行くんだよ! 約束だからね?』
「分かっ……」
その時、子供の泣き声が電話の向こうで聞こえてきた。
『ごめん! ちびが起きたみたい! また連絡するね。アンタも何かあったらメールするのよ!!!』
彼女は慌てながらそう言うと、私の返事を聞く間もなく電話を切ってしまった。
相手のいなくなった携帯を見つめながら「ありがと」と呟くと、私は自分の気持ちに意識を向けたのだった。
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