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「おめでとう! 元気だった?」
久しぶりに見る友達の顔は幸せそうで、そして母親の顔になっていた。
私は正月休みを利用して、実家に帰ったのだ。そして久しぶりに、友達の家に顔を出した。
「元気、元気! もうてんやわんやだけどね」
そう言いながらも、嬉しそうに子供に乳を含ませる彼女の姿は、私にはとても眩しく映る。彼女の三歳の長女は、母親の後ろで恥ずかしそうにしながら、私を覗き見ている。
彼女が「こんにちは、は?」と言うと、「んちわ」と舌っ足らずに口にして、父親の方に逃げて行ってしまった。
私はそんな様子を微笑ましく見ていた。
「ところで」
彼女が私の顔を探るように見てくる。
「いつになったらアンタのウエディングドレス姿、見れるのかな? 早くしてくれないと、私の今持ってるドレスが型遅れになっちゃう」
「その前に体型戻さなきゃなんないけど」と、笑いながら言う彼女に、
「んー、私は結婚、しないかな」
私は苦笑いで返した。
「好きな人はいないの?」
その質問に、彼の顔が脳裏を過ぎる。きっと顔に出たのだろう、
「いるんじゃん! 今度紹介してよね」
彼女がそう嬉しそうに言ってきた。
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