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「光孝。」 「うん?」 「なんで、何も聞いてこないんだ?」 雅也さんこそ、疲れている癖に、運転までして俺を気遣った。 「何故なんだって思ってるよ。だけどそれは雅也さんにする質問じゃない。それに、両親にも…。ただ今は大志の胸倉掴んで、聞きただしたい。」 「それで本当のところがわかるなら、俺がとっくにしてるさ。」 雅也さんは、暗い道を見詰めたまま言った。 「いくら人を慌てさせるのが得意でも、これはダメだよね。」 「まったくだな。」 人は、思いがけない出来事があると、認めるまで感情に出すことが出来ない。そんなことを誰かに聞いた気がする。
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