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大志は祖父さんの後を継いで、ツアー会社の社長だった。
だけど事情が事情だけに、社葬扱いにはならないらしい。家族や身近な人達のささやかな葬式になると親父は言った。
「光孝…。長旅で疲れてるだろ。帰って寝てこい。」
「年食ってて、俺より疲れてる人に言われたくない。」
可愛くないなと、自分でも思う。だけどそれを承知の上で、伯父さん達に甘えた。
明日の今頃…。大志はこの姿じゃなくなる。
そう思うと離れたくなかった。
「大志な、午前中まで、いつもみたいにバカ言ってたんだ。」
透伯父さんは、大志に用があって、会社に来たらしい。真面目に話してるのに、大志はふざけてたと言った。
「なんで午後になったら、人が変わったみたいに、あんなことしたのさ?アイツそんなキャラじゃないだろ。」
「だから…。だから、解らないんだ。」
透伯父さんは、大志を気に入っていた。大志も伯父さんに甘えてた。悲しくない筈がない。それに、気付けなかったことを責めてる。
痛いほど、解る。俺だって伯父さんと同じ立場だったら責めるから。
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