第一夜 銀河鉄道《ジャンヌダルク》

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 ――星。  直径二百メートル程の小さな星一面から、淡い水色が放たれていた。もっと細かく言うなら、その光は星自身から発されているのではなく、無数に見える水晶の様な、大きな鉱物の塊から発されている。  光る鉱物、と言ったら螢石やダイヤモンド、琥珀などがそうだが、それらは主に紫外線がある状況下で発光する。永久にとって、日光のないここで、こんなにも明るく光る石があるのは予想外だった。  《ジャンヌダルク》は宙から、星の中でも、鉱物が削ぎ落とされた平たい場所に向かって着地した。どうやら駅らしく、改札口やホームがぽつんと造られていた。しかし、人影は一つもない。 『リリームス、リリームスで御座います。お忘れものが無いよう、お気をつけ下さい』  先程と同じ様に声が響く。と同時に、廊下からドアを開け閉めする音や足音が聞こえた。はしゃぐ子供の声、大人の弾んだ声も耳に届いた。永久はそちらを向いたが、人っ子一人、誰も二人の前の廊下を通らなかった。  すくっと、少女は不意に立ち上がる。そして迷うことなく、個室のドアに付けられた銀色のドアノブに手をかけた。 「……降りないの?」  前を向いたまま、少女は永久に投げ掛ける。
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