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「瑠奈、持ってみろよ」
今度は俺の手から瑠奈に渡った。
「ふふっ、かわいい♪」
「だろ?」
しばらくふたりで子犬を見つめていると、
子犬がゆっくりと目を覚ました。
そして眠たそうに前足で顔を掻いた。
「「かわいすぎる・・・・・・」」
基本的に人と同じ意見を嫌う俺だけど、
これだけは嫌でもなんでもなかった。
寧ろかわいいと思わなかった奴を調教してやりたいと本気で思う。
今なら本来の10%の1万円でやってやる。
どんどん来やがれ。
・・・・・・・・・・・・元値10万円だね♪
目を覚ました子犬は
今度は瑠奈の顔を舐め始めた。
「あっ、ちょっと!やめてよ~」
嫌がりながらもなんか楽しそうな瑠奈。
ブサイクな筈なのに凄く絵になる。
可愛い・・・・・・河合さん元気かな?
・・・・・・決して可愛いなんて思わない。
《カタン!》
「「あっ!」」
子犬が顔を舐めたせいで、瑠奈の出っ歯と眼鏡がいっぺんに落ちた。
不協和音を奏でていた2つが一気に失われて、瑠奈の周りが一気に華やいだ。
《バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!》
そんな効果音が似合いそうなくらい、
周りの人間がこっちを見た。
流石は瑠奈様。
無駄なオーラを持ってらっしゃいやがる。
お陰様で兄貴に見つかる可能がでてきやがった。
だけど見つかる訳にはいかない。
「瑠奈!こっち向け!」
「まこっ!?」
俺は落ちていた
出っ歯を瑠奈の口にぶちこんだ。
「ふほほっ!?ひたひひたひ!」
(訳)真琴!?痛い痛い!
なに言ってるかわかる自分が怖い。
とりあえずこの場から離れよう。
「瑠奈、行こう」
俺は瑠奈を抱き寄せるようにして
ペットショップから出ていこうとした。
「大胆だね?まーこと?(はーと)」
最後のハートには殺意が含まれていた。
その証拠に抱き寄せている間、
ずっと脇腹をつねられてていた。
「痛いんだけど?」
「地面に落ちたものを、洗いもせず女の子の口に突っ込んだ罰よ?(はーと)」
また殺意が含まれていた。
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