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目的地はわかっている。俺の部屋だ。
俺たちは半開きのドアを急いで開けた。
「痛って~~~~!!」
俺の部屋の中央では兄貴が両手の甲を押さえて、のたうち回っていた。
「真琴!なにをしたの!?」
高木さん・・・・・・なんでもかんでも俺のせいにするのは良くないと思うよ?
・・・・・・まぁ俺のせいだけど♪
「ん?ネズミ取り」
平然と答えようとしたけど
ニヤニヤが止まらない!
俺はあの会話をすればその後、兄貴は俺の部屋にあのエロDVD、又は交換材料を捜すだろうと読んでいた。
だから机の引き出しに特大のネズミ取りを取りつけて上手く引っかけて引き出しを開かなくした。
普通、引き出しは片手で開ける。
でも鍵も無いのに引き出しが開かなかったら、人間は両手を使って開こうとする。
兄貴も同じようにしたのだろう。
それによって二回目に強い力が掛かり引っかかりが外れて、ネズミ取りが両手を襲った訳だ。
「真琴~。これは酷いって~!」
涙目で抗議する兄貴に一瞬ドキッとした。
下手な女より遥かに可愛いぞ!兄貴!
でも俺は努めて冷静に対応した。
どんな状況でも冷静でいられるのは俺の長所だと思う。
「えっ?ただの泥棒退治用の仕掛けだけど?」
我ながら白々しい。
「嘘つけ!明らかに俺を狙っただろ!?
見ろ!両手の甲にミミズ腫れが!」
「・・・・・・折れなかったか・・・・・・」
「恐ろしい事言うな!」
「まぁまぁ。大体、俺は悪くない。兄貴が俺の部屋を漁らなかったら良かったんだ」
「グッ!それは・・・・・・」
「しかも引き出しを無理矢理開けようとまでしちゃって・・・・・・あ~あ!俺にはプライバシーは無いのかな!?」
自分の事を完全に棚の上に上げた追求に
言ってる本人も理不尽だろと思いました。
マリアナ海溝より深く反省しております。
「クッ!」
「あ~あ!兄貴の良心はどこに消えちゃったのかねぇ!?」
俺が良心について説くときがくるとは全く思わなかった。
C3POがライトセイバーをヨーダ並みに華麗に扱う光景と同じくらい異様だ。
「・・・・・・ごめん・・・・・・」
「いいよ。だって俺たち兄弟だろ?」
最終的には何故か兄貴が謝っていた。
俺こそが真の口だけの男だと思う。
高木さん?涙目の兄貴見て失神した。
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