人は見かけによる。しかし俺みたいに良くも悪くも例外はいる

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  《瑠奈視点》 「私・・・・・・真琴の事・・・・・・!?」 唇に何かの感触。 硬くて・・・・・・直角で・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・辞書? 「言うな」 私の前には、真剣な表情で分厚い辞書を片手で私の口に押しつける真琴がいた。 「ま、真琴?」 「お前の気持ちはわかってる。 俺は兄貴と違って鈍感じゃないし」 ・・・・・・わかってたの? ・・・・・・ならなんで? もしかして・・・・・・フラれたの? 涙が溢れ出す。 もう止める気も、我慢する気もない。 ・・・・・・だって・・・・・・ 私の様子を見た真琴は私の口に当てていた辞書を私に腕の中に押しつけた。 私は押しつけられた本を見た。 ・・・・・・六法全書? 「俺には力がない」 私がそれを確認したのを見ると、真琴は私の目をまっすぐ見て口を開いた。 「嘘と揚げ足取りとハッタリと皮肉しかない今の俺では、弁護士には絶対に勝てない」 弁護士・・・・・・お父さん? 「きっとあの人に勝つ位じゃないと、あの人も納得してくれない。だから・・・・・・」 「もう少し待っててくれ。 俺があの人と戦えるって思ったら・・・・・・ その時に俺の方から気持ちを伝えるから」       そう言って真琴は私に笑いかけた。 今までにないくらいの優しい表情で・・・・・ 「ごめんな?瑠奈?待っててくれるか?」 「うん・・・・・・待つよ? ずっと待ってるから・・・・・・」 私も今の自分の気持ちを伝えた。 どんな顔をしていたかな? 涙をボロボロ流してたから あんまりかわいくなかったかも・・・・・・ 私の言葉を聞いた真琴は、 また私に笑いかけて、私を抱きしめた。 「泣き顔見たくない」 真琴のぶっきらぼうな言葉。 でも誰よりも心優しい言葉・・・・・・ 私はまた真琴の腕の中で泣いた。 でも今回は悲しみの涙じゃなくて喜びの涙。 『ありがとう。大好きだよ・・・・・・真琴』 言葉にしちゃだめだから心の中で呟いた。 ・・・・・・・・・・・・伝わったかな?  
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