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そして店員は
俺たちの言った商品を全て読み上げた。
「はい、それであってます」
「では少々お待ち下さい」
そう言って立ち去ろうとする店員。
「ちょっと待って」
しかし兄貴はそれを止めた。
そしてハンカチを差し出した。
・・・・・・そういえば高木さんにいつも持たされてたな。
「これで涙拭いて下さい」
「えっ?でもこれはお客様の・・・・・・」
「いいんですよ。うちの弟が原因ですし。
それに・・・・・・
・・・・・・せっかくきれいな顔してるのに、
涙の跡があったらもったいないですよ?」
と、兄貴は男もホレてしまいそうな笑顔で天然ジゴロ発言をやってのけやがった。
《ドキューン!》
そんな擬音が聞こえたような気がした。
「は、はい///ありがとうございます///」
そう言って店員は兄貴からハンカチを受け取り、涙とその跡を急いで拭いてハンカチを兄貴に返した。
「うん、かわいい」
また兄貴の天然ジゴロ。
「あ、ありがとうございます///
では少々お待ち下さい///」
そう言って店員は
そそくさと厨房に入っていった。
「・・・・・・優樹がモテる訳がはっきりと、わかった気がするよ」
「奇遇だな、俺も・・・・・・」
信也と龍の呟きが俺の耳に届いた。
「あれ?俺、注文できてない」
悟郎の呟きは霧のように拡散し消えたため誰の耳にも届かなかった。
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