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嫁に連れて来られたのは書斎だった。
その書斎の中央に置かれたソファーにはまるで武将のような貫禄を持つ男が座っていた。
「久しぶりだなミスターS君・・・・・・いや、真琴くん?」
ミスターSのSはドSのS。
・・・・・・一文に4回もS使ったよ・・・・・・
「お久しぶりです伊集院社長・・・・・・いや、浮気社長」
ちゃんと毒を吐くのを忘れない俺は几帳面な男だと思う。
・・・・・・反論は認めない。
「まさか君が娘の友達だったなんて思いもしなかったよ」
「いえいえ。友達ではございません。友達の双子の弟でございます。あの性格は友達にはなれません」
「親の前で良く言えたものだ」
「蛙の子は蛙とはこういう事なのだと、
観察されて頂いてます」
「君は大人に対する礼儀というものを知らないようだな?」
「そんな事はございません。ただ私は家庭を持ちながらその辺の若い女に平気で手を出した社長を心から軽蔑してるだけでございます」
このおっさんに
親父とお袋にを会わせたいものだ。
お互いに愛し合い、俺たちを愛し、兄貴に勝てなくて塞ぎ込んでいた俺に生きる道を教えてくれた両親を、俺はこの世で一番尊敬している。
その分、浮気社長を全力で軽蔑している。
「浮気社長の事は尊敬してますよ?
もともとは小さかった会社を世界に通ずる大企業にした功績は本当に尊敬しています」
「ふん!」
社長はソファーにドカリ!と座り直し、
タバコに火をつけて一服を始めた。
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