金持ちの凄い所は「今」でなく、今に至るまでの「過程」

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  「必要なかったからです」 「なに?」 浮気社長が顔をしかめた。 そりゃそうだ。 1億なんて大金、そう簡単に手に入るものじゃないし、それだけあれば人生も楽に生きていける。 「必要なかったんです。 兄貴を苛めて、 悟郎を苛めて、 ラバーズ共を苛めて、 兄貴を罰して、 悟郎をしばいて、 ラバーズ共を狂気に走らせて、 兄貴と笑い合って、 悟郎とバカやって、 生徒会室に遊びに行って、 キラーズ共にもちょいちょい協力して、 家で兄貴とゲームして、 高木さんの作るうまい飯食って、 寝る前に親に今日の報告して、 明日何しようか考えながら寝る。 そんな俺の人生に金なんて必要なかったんですよ。」 「・・・・・・」 「それでは俺はこれで・・・・・・」 そう言って俺は立ち上がり、書斎の入口のドアまで歩いた。 「待て!」 ドアに手を掛けた所で浮気社長に呼び止められた。 「どんなに楽しくかろうが 今の生活も永遠には続かない 将来のことを考えたなら 明らかに金を受け取った方が楽になる お前はそんな事も わからないような人間ではないだろう!? それなのに何故受け取らん!?」 その答えを 俺は体を扉の向こうに出しながら答えた。 「俺は『今』を全力で生きてるんで」 ・・・・・・後先なんて考えていられない。 そして俺は扉を閉めた。  
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