『尾行中』と『交尾中』って似てるよね?・・・えっ?似てない?

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  「なぁ?お嬢さん?」 兄貴にバレないよう名前は言わない配慮。 瑠奈もちゃんとそうやってくれてる。 流石は完璧生徒会長様。優秀極まりない。 ・・・・・・必ず毒を吐く事を俺は忘れない。 「ん?なに?」 瑠奈がこっちを向いた。 俺はその時始めて瑠奈の姿を見た。 瑠奈は変装していた。 まぁ俺がそう頼んだんだけど。 問題はその姿だ。 髪型はおさげ。 目、鼻などのほとんどの顔のパーツは完璧過ぎるくらい完璧のまま。 ただ一点、歯が出っ歯になっていた。 しかも作り物臭くないくらい自然な大きさでリアルな出っ歯だ。 完璧な顔の中のその一点が、見事に全てのバランス崩してらっしゃる。 しかも伊達メガネもかけており、 その伊達メガネとおさげと出っ歯が 見事な不協和音を奏でてらっしゃる。 服装はピンクの下地に 真ん中に赤いハートが描かれたTシャツに 白色のミニスカート。 上に見事なくらい似合わない。 簡単に言うと・・・・・・ 「物凄いブサイクだな」 「そう見えるように変装したはずなのに、 そこまではっきり言われると辛いね・・・・・・」 「隠し事は苦手なので」 ・・・・・・よくもまぁ言えたもんだ。 「君の姿も凄いね?」 うん。俺もおかしい。 金髪に赤メッシの ヴィジュアル系のカツラを被って、 化粧してその上にサングラスをかけた 超ヴィジュアル系の顔。 黒地に死神の描かれたTシャツに 黒の皮ジャンを羽織って、 黒の皮の長ズボンを着て、 底の高い皮のブーツにブーツIN! 我ながら まるでヴィジュアル系ロッカーだ。 「似合う?」 「私はいつもの真琴が好き」 ・・・・・・顔が熱くなった。 ・・・・・・・・・・・・ムカつく・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・ 「あっ!二人が移動するよ!?」 瑠奈が指差した先には 仲良さそうに歩き始める兄貴と元会長。 「おい!急ぐぞ!」 俺たちはカップルを装って ふたりの後をつけ始めた。 センスの悪いブサイクとヴィジュアル系の組み合わせはあまりに奇妙で、 それはもう回りから見られる見られる。  
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