伽羅と終章

2/4
前へ
/42ページ
次へ
『――』 遠くで声が聞こえる。 誰かが私を呼んでいる気がする。 『……羅』 でもゴメン。 少し眠いんだ。 だからこのまま睡眠を……。 『起きろ、伽羅!!』 後頭部に強烈な痛みが走り、私は意識を覚醒させた。 周囲を見渡せば、怒りゲージがMAXの仲間達。 みんな色々言いたい事はある様子だけど、夜琥が代表して話をしてくれるらしい。 『伽羅、何をしたのか分かっているのか……?』 「えーと……」 夜琥の額に青筋が浮かんでいる。 どうやら久しぶりに、夜琥の地雷を踏んだようだ。 『狂骨の意識の中に飛び込んで記憶を改ざんするなど、無茶をするな』 「いえ、ちょっと良い夢を見せて眠らせたいと思いまして」 『危うく伽羅が永眠する所だったな。それとも永眠を所望するのか?』 嫌味たっぷり、怒りたっぷり。 どうやら私のした事は、相当な無茶だったらしい。 私は本能で出来る事は理解していたけど、周りからすればハラハラものだったのだろう。 夜琥の怒りを見れば、よく分かる。 恐らく後頭部に一発入れたのは、夜琥の仕業に違いない。 「そういえば狂骨は?」 『あれを見ろ』 夜琥は指差す方向を見れば、グチャグチャに壊れた井戸。 私は一度も井戸に攻撃を加えていないのですが……。 『狂骨は死んだ。自ら命を絶ったと言っても過言では無いな』 「それってどういう……?」 『そのままの意味だ。伽羅のやった事が狂骨の心を満たし、狂骨は自らの消滅を望んだ。そしてその望み通り、自らの意思で消滅した』 「そんなご都合主義な展開があるワケない」 『あった。現にもう狂骨の気配は感じられない』 私はもう一度井戸を見て、狂骨の気配を探る。 確かに何の気配も残っていない。 狂骨は完全に消滅していた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加