1人が本棚に入れています
本棚に追加
そういう経緯もありユエちゃんは身長の事を若干、否、然許り気にしている。
「で、どうすんの?ノギちゃん。」
相変わらず牛乳を摂取し続ける少女は、ため息混じりにかつ、何に対してなのか半ば諦めたような口調で言う。
「どうするって、そんなの決まってるだろう。」
僕は、それがさも当然のように、おそらく彼女のため息の原因である回答を即答してやる。
「悩めるクラスメートのお悩み相談さ。」
◇
只今現在、放課後。
僕は我が校の屋上にいる。
そして目に映るのは、前日拝見したばかりの、見れば観るほど看たくなるウシヂチがその存在を誇張しているのだった。
「あのさ、分かり易いくらい厭らしい目でアタシの胸見ないでくれる?」
「え、僕まだ看てないんですけど。」
「そっちの『みる』じゃないから。てか、まだってこれからやるつもりか!!」
「ヤルだなんてそんな」
「そういうヤルじゃねぇよ!?」
どうしてこうなったのか。
それは数分前、帰りのSTも終わり帰ろうとした時だ。
たった今キレのあるツッコミを披露してくれた彼女、亜麻寧さんが僕の教室に現れ、そして僕を見つけるなり強引に腕を引いてここまで連れてきたのだ。
「まぁまぁ、そんなに興奮するなよ。それより、何か僕に用があるんじゃないの?わざわざ僕をここまで連れてきたんだからさ。」
彼女は一度舌打ちをすると、屋上風で乱れた髪をかきあげる。
「そうだね。アンタに用があるにはある。けど、それだけでアンタをここに連れてきたわけじゃないよ。」
「どういうこと?」
意味が分からない。
僕に用があること意外に、一体何があるというのか。
彼女は含んだような笑みを浮かべると、悪戯を思いついた時のように口角の上がったその口を開いた。
「何よ、分かってるくせにカマトトぶっちゃって。アンタがアタシに用があるからに決まってるじゃん。」
得意げな顔になった彼女は続ける。
「アンタさぁ、アタシのこと脅して厭らしいことしたいんでしょ?」
「ちょっと待て。」
最初のコメントを投稿しよう!