会社にて

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今日は12月20日。 もうすぐ正月休みがやってくる。 社会人になって、初めての 一年が経とうとしている。 今年の目標…… 「出来るだけ 自分の力でやってみる」は… 半分くらいしか 達成できなかったなぁ。 仕事に関しては 右も左も分からない私は 先輩やらお母さんやら に助けて貰ってばかりだった。 思えば、私は何事にも 中途半端な気がする…… 資料をパソコンで打ち込みながら 早いと思いながらも今年を 振り返ってみると、 唯一続けているお菓子作り以外は なかなかこなせていないと いう考えに至った。 駄目だな、私…… 「中川君…ちょっと? お願いがあるんだが」 「はいっ」 気付けばキーボードから手が 離れており、目線も上の空。 課長に呼ばれて少し驚いてから 急いで返事をする。 私の行動をじっと見ていたらしく 反対のデスクからは笑いを 堪えている先輩が見えた。 課長のお願いは、何時だって <飲み物を淹れてくれ>だ。入社して1ヶ月くらいが経った ある日、課長に呼ばれて 何事かと思えば 紅茶かコーヒーを淹れてくれ。 言われたままコーヒーを渡すと 意外に好評だった。 会社の人達にすぐ噂は広まって、 美味しい美味しいといってくれた 凄く、嬉しかった。 それ以来、コーヒーを淹れてくれとよく頼まれる。 給湯室に向かおうとすると 先輩はずっと笑いを堪えてた。
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