会社にて

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「そういえばそろそろクリスマスねぇ… 唯ちゃん何か予定ある?」 「わぁっ!?…びっくりした… 先輩、驚かさないで下さいよ」 給湯室でコーヒーや紅茶を 淹れていると突然声をかけられて 驚いた。 慌てて後ろを振り向くと 自分のデスクで笑っていた筈の 先輩が柱にもたれかかって 微笑んでいた。 「失礼ね…そんなに驚かなくても いいじゃない… ? ? それで、 質問の答えは?」 「クリスマスですか…? 別に予定もありませんし お菓子でも作って自分で食べて 自己満足するくらいですよ」 「ぇ……? 唯ちゃん、お菓子作れるの!?」 「はい、自分でいうのも何ですが 人並み以上はできますよ? 友達・両親・公認です。」 「本当!?…じゃあ、 クリスマスイブから唯ちゃん家 行っていい!?」 「えぇ!?…別にいいですけど、 先輩こそ予定はないんですか?」 「………私、去年別れたんだ… それで、今年のクリスマスは 寂しいなって思ってたところ」 珍しく悲しげな表情の先輩。 まずいこと聞いちゃったかな… 「す、すいません… 余計な事聞いちゃって…」 「いいの……終わった事だし。 それより、そろそろ戻らないと 課長達待ってるわよ?」 「あぁっ!」 完全に忘れていた。 幸い淹れたコーヒー達は 冷めてはなく、程よい温度を 保っていたので急いで戻る。 先輩の行動の早い事。 私がお盆をもって給湯室から 出てきた頃には何食わぬ顔で デスクに戻り仕事を続けている。 「すみません、課長… 遅くなりました」 「はっはっは。いいよいいよ 気にしなくて。中川君の淹れた コーヒーは格別美味いからね、 何時までも待つよ。まぁ、最も 速いのが嬉しいがね」 「はぁ…有難う御座います」 中川さん、俺にも! 私にもお願い~ と口々に飲み物を要求する 仕事仲間に配り終えて、 ようやく仕事につく。
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