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――8月15日の午後12時30分くらいの事。天気がいい
病気になりそうな程眩しい日差しの中
することもないからキミと駄弁っていた――
「でもさ、夏は嫌いだな。」
「っ、いきなりなんだよ霧野…」
「いきなりって…聞いてなかったのか?神童」
「あ、あぁ…悪い、」
猫を撫でながら(アイツ猫なんて飼ってたか…?)霧野はふてぶてしく呟いた
「にゃーっ!」
そんなこんなで話していたら急に猫が霧野の腕から逃げ出して
逃げ出した猫の、後を追い掛けて
「あ…!」
飛び込んでしまったのは
「っ!?霧野…ッ!!」
赤に変わった信号機。
「きり、の…霧野ぉおっ!!!」
バッ、と通ったトラックが
霧野を引き摺って… 俺は泣き叫んだ。
血飛沫の色、霧野の香りと混ざりあって噎せ返った
「ッ…、ごほっ…!!」
『ははっ…』
「っ!?」
ふらっと現れた陽炎、
―嘘みたいな陽炎が『嘘じゃないぞ』って、笑ってる
夏の水色 掻き回すような蝉の声に
俺の思考も視界も、全て眩んだ―
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