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「っ、霧野…!って…、夢…か。」
目を覚ました、時計の針が鳴り響くベッドで…というか、今何時だ…?
「8月14日…、午前12時…?」
まだ12時過ぎか、そういえば
今日霧野と約束あったな、
それにしても、今日は何時にもまして煩い蝉だ…
――…
でもさ、少し不思議だよな…
俺が昨日見た……思い出したくもないあの夢の公園に、俺と霧野がいて。
「~~で、その時に松風が…」
「霧野。」
「、?どうした…?神童。」
「今日はもう帰ろう。」
「あ、あぁ……」
霧野と公園の道を抜けた時
周りの人は皆、上を見上げ口を開けていた――
「なんだ、どうし…っ、!?」
落下してきた鉄柱が霧野を貫いて突き刺さる――
「っ、きゃああぁああ!!」
「救急車…、誰か、救急車を!!」
つんざく悲鳴と、風鈴の音が
木々の隙間で 空回り――
「きり…、の……」
『っはは、!あはは…』
――わざとらしい陽炎が
『夢じゃないぞ』って笑ってる――
「きりの…、」
するとまた、ぐらんと歪む
俺の視界…… そんな眩む視界の中
何故だか霧野が
「 」
笑ってるような気がした―――
――何度、世界が変わっても
陽炎が笑って 奪い去る
繰り返して 何十年もう、とっくに気が付いていたろ?
こんなよくある話なら 結末はきっとひとつだけ
繰り返した 夏の日 の 向こう――
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