プロローグ

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ザーザーと雨が小屋の外で降っている。 すごい雨だなと頭でぼんやりと思い、現実逃避を始めた頭をふと現実に戻す。 目の前の人物から流れ出る血と涙が僕の頭をさらに鈍らせた。 どんなに悲しくても涙は出ない。 心の中にぽっかりと穴が開いていた。 感情はなく天井をボーッと見つめる。 分かりきっていることなのに何度も思う。 ああ、僕は何一つ守れなかったんだ。 自分を嘲笑おうとするが、顔の筋肉は動かずそれすらも出来ない。 ごめんねと心の中で呟き、冷たくなった彼女の体を優しく抱きしめ意識を手放した。 外で降る大雨は止む気配を見せなかった。
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