50過ぎたオッサンが淡々と家族について語っていく

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浪人生となったわけだが、勉強は相変わらずたまにサボっちゃやりの繰り返しだった。 俺と違い姉はと言うと、OLを辞め看病に専念することになった。 相変わらず体は弱いはずだが、献身的に尽くしていた。 俺たち家族に残された時間は少ない。 分かってはいたが、現実をそう簡単に受け止めることができなかった。 そんな俺でも秋には、次第に具合の悪くなる母の姿を見て二浪はできないと必死になって勉強した。 合格して安心させたい一心だった。 そして晴れて第一志望に合格した。 一番に母に報告をした。 泣いて喜んでくれた。 嬉し泣きもさせてやれるのに、俺は今まで何をしていたんだと情けなく思った。 治らない胃潰瘍。 むしろ体調は悪くなる一方。 母もガンだと気付いてはいたと思う。 後ろ髪ひかれる思いで、進学のため東京に俺は行った。
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