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部屋の中。
そこは黒と白のモノトーンの部屋だった。
その広めの部屋に彼が一人。
それは普通な様で普通ではない様に思えた。
彼は照明をギリギリまで落として、キャンドルに火をつける。
ほのかに花の臭いが漂ってくる。どうやらアロマキャンドルのようだが、それが何の香りかは分からない…
「明日も…雨か…」
天気予報を見ることもなく彼はそう呟いた。
彼はおもむろに鞄から手帳を取りだし、傘マークを明日の日付に印す。
どうやら雨の日の記録らしい…
だが手帳を見る限り、今月は明日で二回目の雨の日のようだ。
辺りを見渡せば、もうすぐクリスマスと年末がやってくる…
そんな町が賑やかになる中、この部屋にはそれらを示すものが何もない。
(さて…明日はどんなお客様に会えるのかな…)
黒いソファーに寄りかかりながら彼は目を閉じた。
残ったキャンドルの明かりは揺れることもなく、出勤するまで彼を暖かくしていた。
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