【壱】陰陽師

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~主人公Side~ 俺の名前は[天童 薫]。ごくごく一般的な高校一年生だぜ。 部活もしている。自慢じゃないが剣道部で先鋒を任されている。 俺には昔から悩みがある。霊感があることだ。それを言うと羨ましがる阿呆がいるが、正直に言うと面倒だ。 人の霊はチョッカイをかけてくるし、動物の霊は纏わり付いて動きづらい。 一番厄介なのはそのどちらかでもない奴だ。こっちを見るなり襲い掛かって来るんだぜ?………全力で逃げるけど。 いきなりだが今、部活帰りの俺の目の前には狐がいる。 大きさは一般的な狐よりも少し大きい程度。金色の毛に黒い爪。そして九つの尾。 どう見ても[九尾の狐]が怪我をしている。怪我をしているのか、俺を威嚇してくる九尾の狐。威圧感が半端じゃない。 「俺は傷つけないよ」 できるだけ刺激しないように丁寧に九尾の狐に語りかける。俺の言葉を理解したのか、九尾の狐は大人しくなったので、その隙に消毒をして包帯を巻いた。 消毒液も包帯も、部活帰りでなければ持っていなかったな。 傷の手当をしたからか、九尾の狐が尻尾をユラユラさせている。 …喜んでいるのか?
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